恐怖のハロウィン   1









今年もやってきた…命がけのハロウィンが……


城の中もいつの間にはハロウィンで一色に染まる頃、アリシアは一人苛ついていた。
辺りを見渡す限り黄色、オレンジ、黒!!そしてカボチャで出来た蝋燭が飾られている。

それを見るだけでアリシアは十分理解できた。



そう、恐怖の三大行事の一つでもあるハロウィンが………



何故ハロウィンが恐怖の三大行事かって?
そんなの言うまでもない!!
あのレインが毎年、毎年、お菓子を私に求めて襲い掛かってくるからよ!
しかも毎年お菓子を山ほど用意しているのに
何故かレインが来るときには既にお菓子は無くなっている。




みんなお菓子を貰いにきすぎなのよ!





……………とにかく、今年こそ何とかしなくては………
毎年レインに思うように悪戯されるのだけは勘弁したい。

去年はお菓子が無く、一日中恥ずかしいことにも
頭に猫耳をはやしたまま過ごさせられたし……

昨年はそんなことも知らずに用意してなかったら思いっきりうさ耳頭に生やされたし…
私は動物じゃねーんだぞ!!って叫びそうになるのを必死で堪えるアリシア。




大体誰がこんなハロウィンなど考え出したのだ!
こんな厄介なモノさえ作らなければ私がこんなに苦労することも無かったのに…




更に苛々を飛ばしながらアリシアは廊下を歩く。
いつも見慣れた赤い絨毯はハロウィンというせいか
オレンジと黒のチェック柄になっている。
一体誰がこんな魔法をかけたのやら……



いや、こんな大変な作業を誰がしたのかなど言うまでもない。
心当たりがありすぎて……アリシアは思いっきりため息を付く。






――――――あの莫迦レイン以外に誰がこんな事をやるのだ。






ダリア辺りに頼まれて喜んでやっているレインの姿がありありと思い浮かぶ。
ああ、もう想像できてしまう自分が情けない。
アリシアは更に苛立ったように廊下を歩きながら厨房に向かった。
無論明日のハロウィンに備えてお菓子作りをするのだ。
去年はお菓子が無くて、買った菓子を差し出したら
レインに手作りじゃないと受け取らないと言われ、そのまま悪戯されたのだ。



今思い出しても苦々しい思い出の一つだ。
今年こそはそんなことにならないためにもアリシアは奮闘することを決意していた。



はりきった様子で厨房に乗り込むと早くもアリシアは絶句した。
そして震えた指をさしながら何かを必死で言おうとするが、声が出ない。

真っ青に青ざめ、何か言おうとしているアリシアの姿を見て
指をさされた相手は呆れたようにため息を付きながら言った。





「どうしたのですか、アリシア姫。
人に指をさすなんてあまり良い行為とは思えませんね」



「な、な、何であんたがここにいるのよー!!」





アリシアの尤もな意見は大きな城の中に消えていった。







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