素敵な晩餐会   5









「で、なんでミランナはここにいるの?もしかしてレインに追い出された?」




「んー?なんかね、二人とも深刻そうだったから夕飯作って、
デザート置いてきたからこっちに戻ってきたの」







ローレシアがお仕事サボってないか見張るためにねーv
と、のほほんとした表情で言い切るミランナ。
なにげに黒い。



ま、人のことは言えないんだけどね。
そんなことを思いながら再び書類に目を通し始めるローレシア。
そう言えば前にもこんな様なことあったような無かったような……






「懐かしいわね〜前にもローレシアが逃亡したとき、こうやって三人で残業したわよね」




「う…………」




「そうそう、あの時も往生際が悪くてね…ついつい私が怒っちゃったんだっけ?」



「……………」





…………そう言えばそんなこともあったような気がする。
その時の記憶は一切覚えていないが、多分自分で記憶を消したんだろう。
あまりにも思い出したくないために……



それを考えれば一番怒らせたくないのは目の前の人物だ。
レインの母親と言うこともあり、その魔力は計り知れない。
だが、控えめな性格をしているため表舞台にはあまり顔を出さぬが、
確実に強いと自覚できる人物だ。






「アリシア姫、レインと本当に結婚してくれるのかしら?」



「は?」





あまりにも唐突な言葉にローレシアは思わず間抜けな声を出す。
きっと今の自分はアホ面に間違えない。
だが、その発言をした当の本人はいたって真面目だ。





「だって……アリシア姫なんだか元気なかったし、
このまま婚約解消になっちゃうのかしら?」



「………………ま、その点は大丈夫だと思うわよ」




気難しい顔をするミランナにローレシアは書類を眺めながらクスリと笑った。
あのレインが好きになった女性を手放すわけがあるはずもない。
アリシアには可哀想だが、ここは諦めて貰うしかない。





「顔は一級品並に格好いいのに、あの性格じゃねぇ……」



「何よ、その言い方は………」



「べっつにー私はただふつーにいっただけよ。ふつーに…」





それにアリシアちゃんなら問題ないだろう。
何だかんだ言ってもレインのこと好きみたいだし。
ま、私にとっちゃレインなんて対象外だけどね。
なんて言ったって此奴が母親じゃあちょっと…関わりたくないと言いますか。





「とりあえず大丈夫よ。あの二人は」





そう、あの二人ならきっと大丈夫。
何故かそう言いきれるローレシアがそこにはいた。



top next