素敵な晩餐会 2
目の前に置かれた料理を口にしながらアリシアは小さく笑った。
家庭料理ながらにも美味しい味が口の中に広がる。
こういった料理もたまには悪くない。と、内心アリシアは思う。
けして豪華な料理では無いが、アリシアは美味しいと思った。
今度料理長に作ってもらおうと、考えつつも手前に置いてある料理を口に運ぶ。
美味しそうに食べるアリシアを見つめながらミランナはにこやかに笑いながら言った。
「どう?美味しいかしら」
「はい、とても美味しいです」
「よかった。お口に合わなかったらどうしようかと思っちゃった」
とても嬉しそうに微笑むミランナにアリシアは素直に微笑む。
可愛らしいお母さんだ。……レインにそっくりだが。
そんな風に笑うアリシアを見ながらレインは目の前の料理に視線を戻した。
忘れてはいけない。
この大量な料理を3人で食べなければいけないことを…
目の前の料理をフォークでつつきながらレインは瞳を細めた。
確かに美味しいのは認めるが、これを食べなければいけないと言うことも忘れてはいけない。
お腹いっぱいになりそうだな。と、笑いながらレインは更に料理を口に運んだ。
それから二時間後、漸く食べ終わった二人は今にも吐きそうなほど苦しい思いをしていた。
流石に作ってもらった料理を残すわけにもいかず、
アリシアとレインは全部食べきったのだ。
途中、何処かに逃げようとするレインを捕まえて無理やり食わせたのは言うまでもない。
まったく、男の癖に逃げようとするなんて……
愚痴りたいのは山々なのだが、お腹がいっぱいでそれどころではない。
椅子に寄り掛かりながらアリシアは小さくため息を付いた。
ギシリ、と椅子が軋むのが分かる。
ふと、片づけをしていたミランナがひょこりと顔を出しながらいった。
「デザートも用意してあるんだけど…いる?」
「……………結構です」
「お腹いっぱいで食べられませんよ」
サラリとありえないことを告げられ、アリシアとレインは顔を顰めた。
どうやったらそう言う話になるのやら…
あれだけの量を食べても何ともならないのか?
ありえないとアリシアは顔に手を当てると、レインも呆れたようにため息を付いた。
どうやらまだミランナはデザートが入る余裕があるらしい。
この中で一番食べていたのはミランナだったと思うのは気のせいだろうか?
それなのにまだデザートが入る余裕があるとは……
流石レインのお母様………
アリシアはその時、妙に納得してしまった。
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