一筋の答え 4
ローレシアじゃ無いと気づいたのなら早く助けてくれればいいものを……
思わず舌打ちをしそうになるアリシア。
だが、目の前の女性があまりにも儚く笑ったため、とりあえず止めておく。
だが、不機嫌なのは隠そうとはしなかった。
現に、今。殺されかけたのだ。自分は。
だが、女性はアリシアをマジマジ見つめたあと、にっこり微笑んだ。
「綺麗な方ですわね、レイン」
「ええ、私が生涯で唯一愛した人ですから」
「まぁ。言うようになったこと……レインも大人になったのね」
「………アリシア姫、こちらは私の母。ミランナ・アラストルです」
「ミランナです。こうしてお目に掛かるのは初めてね、アリシア姫。
よくレインからお話は伺っているわ。可愛らしい人だと。これからもレインを宜しくね」
「はぁ、こちらこそ……………て、えええぇぇぇええ!!」
思わず反射的に頭を下げたアリシアだが、漸く言っている意味が分かったのか、
瞳を見開きながら絶叫する。
その視線はまさにありえないと言わんばかりに目の前の女性に向けられている。
震えるような声でアリシアは言った。
「え?レインの…………お母様?」
「はい」
「…………………」
確かに言われてみれば、髪の毛の色とか、瞳の色とか同じだけど……
同じだけどさぁ………!!!こんな若いお母さんあり?
自分の母を棚に上げながらアリシアは心の中で思う。
若作りをしている素振りもなく、まだまだ二十代前半にしか見えぬこの女性。
確かに優しげな笑顔とかレインにそっくりだけどさぁ……
「あとでお姉さんでした。とか言わないわよね」
「ええ。勿論ですよ。これは正真正銘母です」
「………………そうですか」
疲れた。と、言わんばかりにアリシアはうなだれる。
知らなかった。いや、寧ろ知りたくなかった。
まるで目の前にレインが二人いるような感覚だ。
思わず盛大にため息をつくと、ミランナは綺麗な笑みを浮かべると言った。
「元気がないですわね。きっとお腹が空いているせいかしら?
そうよね、そうに違いないわ。ローレシアのことは仲間に任せて、一緒に夕飯でもどうかしら?」
「え?」
「じゃ、行きましょう。アリシア姫」
「ちょ……ちょっと!!」
ズルズルと引きづられながらアリシアも一緒に歩く。
何処からそんな力が出るのか不思議だ。
為すすべもなく、引きづられていくアリシアにレインは静かに笑った。
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