一筋の答え 2
いくら今の姿がローレシアだからといってアリシアの魔法の腕が劣ろう筈もなく、
寧ろ魔力が高くなったのではないかと思うほどだ。
現に今、自分は呪文を唱えることなく、魔法を繰り出している。
相手が繰り出す炎の魔法を避けながらアリシアは水の呪文を唱える。
どうやらこの男は炎呪文が得意なようだ。
だが、アリシアだって負けてはいない。
威力は互角といったところか。炎と水は蒸発し、跡形もなく消える。
いや、若干とこの炎の方が威力が強い。
それを男も感じたのか、ニヤリと笑ったあと言った。
「随分と魔法の切れが悪いな、ローレシア。道ばたで変なモノでも食ったか?」
「くぅぅ!!言いたいこといいやがって……」
「なんだ。文句があるなら俺に勝ってからにしろよ?」
「ええ、そのつもりよ」
そうよ。元々、私は水系の呪文はあんまり得意じゃないのよ。
寧ろ氷の呪文の方が得意だし。
そうよ、氷呪文で炎ごと凍らせちゃえばいいんじゃないの!!
アリシアは構えをかえると男をキッと睨み付ける。
そしてアリシアは呪文を唱えることなく言い切った。
「コレで終わり」
「な!?」
次の瞬間ドーム全体が氷に覆い尽くされた。
とても考えられないほどの威力だ。
だが、他の四人は魔法のバリアで守っているせいか、傷一つ負っていない。
だが、アリシアの攻撃はそこまでではなかった。
そのまま黒い笑みを浮かべるとアリシアは近くにあった氷の岩を持ち上げると男に投げつける。
が、男は避けられない。
何故なら男の足下は完全に凍っていて動けないようになっていたからだ。
だが、次の瞬間、その氷の岩が解けたかと思うと、一人の男がゆらりと姿を現した。
その姿にアリシアは目を見開く。
「レイン………」
「やっぱり、アリシア姫でしたか……」
そう呟くとレインはスタスタとアリシアに近づく。
まさかレインに一発でばれるとは思いもしてなかったが……
やっぱり嫌だ。
思わず顔を背けると、レインがギュッと抱きしめてきたのが分かった。
その行動に辺りの魔術師は唖然とする。
無論、アリシアもだ。
「ちょ、離せ!!」
「嫌ですよ。やっとこうやって抱きしめることが出来たんですから。
………師匠の顔って言うのが気にくわないですけど」
ムスッとした様子で見つめてくるレインにアリシアは顔を背ける。
そんなアリシアでさえもレインは愛おしいのか、
ジッと見つめていたが、思い出したかのように言った。
「そうだ。師匠はちゃんと捕まえておきましたから安心して下さい」
「師匠?」
「ローレシア・フィスティーラのことです」
にっこり笑うレイン。
丁度その時、ロープでしっかり巻かれ、逃げられないように拘束されたローレシアが入ってきた。
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