一筋の答え   3









「さ、師匠。これはどういうことなのか教えて下さい」



「何の事かしら?」



「惚けないで下さい。寧ろその姿でいられるのも迷惑です」






きっぱりと黒い笑みを浮かべながら言うレインにアリシアの姿をしたローレシアが舌打ちをした。
そしてつまらなそうにレインを見ると魔法を解いた。
するとそこには可憐な立ち振る舞いでこちらを嫌そうに見ているローレシアの姿が目に映った。
その姿に辺りにいた五人の魔術師達はざわつく。
今まで戦っていた男が言った。




「ならば、この女は誰だ!」



「ですからこれはアリシア姫ですよ」



「…………とにかく、離せ」




アリシアはうざったそうにレインから離れると素早い動作でローレシアに近づくと言った。





「ローレシア、早く戻して」



「ええ、そのつもりよ」





自分が二人いるのはなかなか怖いもの。と、呟きながら指を鳴らす。
途端に身長が縮まり、髪は黒色に戻り、瞳は元のピンクに戻った。
アリシアは自分の姿が戻ったことを確認するとにっこり笑い、ローレシアを見た。




「良い度胸をしてるわね、ローレシア。貴女のせいで危うく死にかけたわボケェェ!!」




素早いアリシアのチョップを食らい、ローレシアは前にのめり込む。
だが、アリシアの気はそれだけではすまなかった。





「自分が逃げるために私をおとりに使ったわね?」



「さ、さぁ?何の事かしら」



「とぼけんな」



「…………アリシアちゃんキャラ変わってない?」



「その原因を作ったのはあんたでしょうが!!」





今にも首を絞めかねない勢いのアリシアに
流石に身の危険を感じたのか後ずさるローレシア。
だが、それだけではすまなかった。





「お前、また逃げようとしてたのか」



「あーらお久しぶり。随分元気そうね」



「おう、お前もな。ちょっとこい」



「えー」



「いいから来い」






強制的にローレシアは引きづられ、奥の方に連れて行かれる。
そして残ったのは、アリシアとレイン。
そして五人の魔術師の中で唯一の女性が残った。
澄み切った青い瞳がアリシアを捕らえる。
長い沈黙の末、女は言った。





「やはり貴女はローレシアではありませんでしたか。
先程のご無礼をお許し下さい。貴女の正体を確かめようとしてやったことです。
きっとローレシアに姿を変えられた人だと言うことはすぐに分かったのですが、
私達、魔術師のものではないと感じましたから……この様な手段をとりました」






我々は敵に狙われやすいですからね。と、女は儚げに微笑んだ。






















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