不思議な魔法の薬   3









「な、何なのよコレェェ!!」



思わずアリシアは鏡の前で絶叫する。
そう、鏡の中に映っているのはアリシアではなく、ローレシアの姿で
犯人が笑みを浮かべる姿が頭の中を過ぎる。




―――――殺そうかな、本気で。





思わず黒い笑みを浮かべると、ロードスが呆れたような表情で見てきた。
そうだ彼に説明しなければ―――



「ロードス、あのね」



「ローレシア様、さっさと行きますよ」



「え?あのー……」



「コレ以上待てませんから。本気で殺されますよ。本部の方々に」



「え!ちょっと待ってよー」





ズルズル引きずるような形でアリシアは引きずられていく。
ま、待って……私の話を―――――聞いてよ!!
何時になく強引なロードスにアリシアの必死な訴えは届かなかった。















その頃、ローレシアはと言うとアリシアの姿で町を抜け出そうとしていた。
まさかこんなにも早く町を抜け出せるときが来るとは…
あのロードスのことだし、きっと気づかないわね。あそこまで連れて行くまでは。





「その前にさっさとここから逃げなきゃね」





楽しげに笑みを浮かべると、その場から走り出す。
ふと、急に影が差したかと思うと、スッとローレシアは避けた。
この気配からして――――レインか。
不味いわね……彼奴はアリシア莫迦だし、すぐにばれちゃうかも知れないわね。
ローレシアはすぐそう考えると、サッと身を翻し逃げる。



だが、レインが追いかけてくる気配は感じられなかった。
もしかして最初からばれていたのかしら?
などとローレシアは思いながらその足を緩めることはしなかった。
一方のレインはアリシアの姿を見た瞬間から何か違和感を感じていた。
なんだ?何時になく変だ。



元の姿に戻っているせいだろうか?




スッと近づいてみるモノの、素早い反射神経で避けられてしまう。
空を切る手。いつもは確実に捕まえられると言うのに何故避けられた?


―――――コレはアリシアではない。




そう、レインの中で確信できた。
コレはアリシアではない。ローレシアだ。




ならば本物のアリシアは何処に行ったのだ?
まさか……………
レインは何処かに逃げたローレシアを追うわけでもなく、
本物のアリシアを探すことに専念した。
きっと予想が正しければ今頃彼女は―――死ぬような思いをしているに違いない。










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