不思議な魔法の薬 2
今にも鼻歌を歌い出しそうな勢いで薬の調合を行っているのは
レインの師匠、ローレシア・フィスティーラである。
綺麗な顔に満面な笑みを浮かべながら何かを作っている様はなかなか不気味だ。
しかもその薬が赤から青にそして紫へと変化していけばそう思わざるをえないだろう。
これを一時間前から繰り返しているのだから不思議だ。
最初その様子を見ていたアリシアだったが、
つまらなくなってしまったのか今では夢の中に旅立ってる。
そんな様子にローレシアはにっこり笑いながら言った。
「そーうだ。良いこと思いついちゃったvv」
気味の悪い笑みを浮かべる様はなかなかに恐ろしい。
きっとアリシアが起きていたらこの場を一目散に逃げていただろう。
だが、当の本人は夢の中……気づくはずもなく……
「アリシアちゃんvv髪の毛少し頂戴ね」
そう呟くと、綺麗な黒色の髪を数本抜く。
勿論アリシアが起きないようにそっと。
そして材料を確保したローレシアは更に鼻歌を歌いながら薬の中に突っ込む。
途端に薬の色が気味悪い黒色に変わったのを確認すると、次は自分の髪の毛を数本入れる。
すると、今度は金色に変わるのが分かった。
まるでローレシアの髪の色そのものだ。
「我ながら完璧ね。これを寝ているアリシアちゃんに飲ませて私も飲めば…うふふふふ」
もはや何も言うまい。
黒い笑みを浮かべたローレシアはじりじりとアリシアに近づくと、薬とぐいっと飲ませる。
これはそんなに苦くない薬だ。別に違和感は感じないだろう。
こぐり、とアリシアが飲んだのを確認すると、ローレシアもその薬を飲む。
すると、不思議なことに髪が黒色に変わり、少しばかり身長が縮んだのが分かった。
だが、鏡に映っているのは元の姿のアリシアで……
「完璧。アリシアちゃんも私の姿になっているし、
このままここから逃げ出せば誰にもばれないわね」
何処までも自分の為だけに動くローレシアであった。
アリシアの姿でその場を消えたと当時に誰かが入ってくる。
ロードスだ。そしてソファーで寝ているアリシアを見付けると呆れたように言った。
「ローレシア様、起きて下さい」
「ん〜?」
「上の方々がお待ちですよ!!本当に殺されちゃいますって」
「―――――――ん……起きる」
そう言いながら起きたアリシアは何処か違和感を感じるのに気づいた。
何故だろう。何かが何時もと違うような……
鏡を見たアリシアは自分の姿を見て絶叫した。
何とそこにはローレシアの姿をした自分が映っていたのだから……
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