不思議な魔法の薬 1
「全く、お前はどうしてそんなに莫迦なんだ?」
「…………」
「どうやら姫さんのことになると周りが見えなくなるようだな」
「……………」
ため息をつきながらルイスはレインを引きずる。
無言のままのレインにルイスは言った。
「こんなに後悔するならそんな事しなければ良かったのに…
本当、お前は莫迦だよ」
時々本当にライバルなのか?と、思うくらいだ。
でも、やっぱりそれだけの実力はあるんだよな。此奴……
特に大切な人を守ると決めたら一直線。余所見はけしてしない。
それがレイン・アラストルだ。
だが――――――
「わかってんだろう?ロードスがそんなコトするような奴じゃ無いことぐらい。
ああ、もう!泣くなよレイン。萎れているお前は俺の知っているレインじゃねぇ!!」
「……………泣いてなんかいないさ」
「…………………」
「雨が降ってきたんだ……きっと」
「………………そう言うことにしておいてやるよ」
ルイスは晴れ渡った空を見上げながら苦笑する。
せめて目にゴミが入ったぐらいの良いわけにしておけばいいモノを……
本当、莫迦だな。
「行くぞ」
ルイスはそう呟くとその場から消える。と、同時にレインも消えた。
青く澄んだ空……まるで誰かの心を表しているかのようだった。
「もう、二人が笑っているせいで見失ってしまったじゃないですか」
「何を言ってるの、ロードス。それは見失ったあんたのせいでしょう」
「人のせいにしちゃ駄目だよ?」
ねーっと、声を合わせて言うアリシアとローレシアに一瞬殺意が芽生えたモノの、
ロードスは肩を落とすと言った。
「とりあえず、一番先に帰ってきたことを報告して下さい。
皆さん随分と心配なさっていたんですから。もう、そりゃ殺気がみなぎるぐらいに……」
「それってさ、心配してるって言うよりも殺そうとしてるのに近くねーか?」
ポツリと呟くローレシアにロードスは笑顔で気のせいですよ。と言った。
だが、その笑顔が黒いのは気のせいだろうか?
寧ろ気のせいだと思いたい。
「それより私の姿を先にもとしてねー」
「はいはい。と、言うわけだから先にアリシアちゃんの方を戻さなきゃならないから無理」
「ローレシア様!!」
「んじゃvまた後でね」
手をヒラヒラさせるとその場から消えるローレシア。
無論アリシアも一緒だ。残されたロードスは呆然としながら言った。
逃げられたと。
苦労の堪えないロードスがその場に佇んでいた。
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