レインとの久しぶりの再会   1









遅い、遅すぎる……魔法都市アルテイルスの前に佇みながらレインはそんなことを思った。
ダリア王妃からアリシアがこちらに向かったという話は聞いた。
だから先回りしてきたというのに……来ない。アリシアが来ない。
何かあったのだろうか?もう此処に到着しても良い日にちだと言うのに……




「何かあったのか?いや、でも…仮に師匠も居るんだし、大丈夫か」




とうとうその場でウロウロしはじめたレインに呆れたように一人の魔術師が視線を送る。
彼はレインの友人でもあり、ライバルでもあるルイスだ。
海のように深みのある青い髪に灰色の瞳が冷たくこちらを見る。
だが、そんな視線すら気にならないほどレインは焦っていた。
アリシアに何かあったらどうしてくれようか?そればっかり彼の頭を過ぎる。
どうやらローレシアに返り討ちという考えは浮かばないらしい。




「そんなに心配なら見てやろうか?」


「え??!」





ルイスがそう呟くと、驚いたようにこちらを見る。
オイ、仮にも俺は魔術師だぞ?と、呟くとレインはそうだったね。と言った。
忘れていたような口調だな?畜生……
ルイスはふてくされたようにどこからか水晶玉を取り出すと眺める。
水晶玉に渦が広がると共に水晶玉が青色に染まり、泡が見え隠れした。
これは――――ひょっとして……





「海の中っぽいな。しかも溺れていると見た」


「何だって!!」





ルイスの暢気な言葉にレインは青ざめた様子で水晶玉に食い入る。
待てや。俺が見てるんだぞ?そう呟こうとしてルイスは止めておく。
レインがあまりにも必死だからだ。
全く……仕方がないヤツだ。




「ローレシア様が一緒なら大丈夫だろう?それにほら、ローレシア様も来たぞ」



そう呟くと、水晶にはセイレーンを脅した様子のローレシアが映った。
その性格の悪さは健在のようだ。
ふと、彼女がこちらを見たのが分かった。
と、同時ににっこり笑ったかと思うと口ぱくでいう。




『コラ、覗いてんじゃねーよ。餓鬼共が』




本当、性格が悪い。と、思った同時にルイスの水晶玉が壊れた。
否、ローレシアに壊されたと言った方が良いか。
流石最強の魔女と言われることだけはある。魔術の力で跳ね返したようだ。
そしてそれに耐えきれなくなった水晶玉が壊れたと。
ルイスはちぇ、と舌打ちをすると目の前で壊された自分の水晶玉を見る。
大きな損害だ。それにしても…………





「お前の師匠、全く変わってなかったな」




「そのようだね」





二人は大きく頷きあった。















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