海の歌姫セイレーン 2
「本当、ローレシア様は良い度胸してますよ」
だからレイン様がああ言う性格になったんですね。
と、はっきり言いきるロードスにローレシアはめんどくさそうに瞳を細めた。
此奴の説教は始まると長くなってたまらない。
ローレシアは話を逸らすかのように言った。
「で、何のようでここに来たの?」
「ああ、そうでした。ローレシア様……何故アリシア姫に嘘をついたのですか」
「嘘?」
その言葉に一瞬怪訝そうな表情をするローレシア。
だが、ロードスの表情は依然と堅いものだ。
「ええ、何故特製の魔法薬がなければ解けないと言ったのですか。
あれくらいならローレシア様なら簡単に解けるはずです」
「んー……だから私はてっきりクロレシア王国に居るって言うのを報告したのが
レインだと思ったからアリシア姫を連れてきたんだけどね……
間違っていたみたいだし。このまま連れていて魔法薬で直すのも悪くないね」
「また人ごとだと思って……」
呆れたようにため息をつくロードス。
アリシアからその話を聞いたとき、内心ひやっとしたものだ。
まさかローレシア様でも直せない呪いが合ったとは………と。
だが、現実は違うようで…………
「ま、今更言ってもどうしようもないですけど、
元の姿に戻したら謝っておくんですよローレシア様」
「はいはい。お前は何時でも堅いヤツだね」
「お褒めの言葉ありがとう御座います」
「いや、誉めちゃいないんだけどさ。ま、いいか……」
一人呟くと、ローレシアはそのままロードスが持っていた
ワインを奪うとどかりとその場に座り込む。
まったく、そんなことでワインを飲む楽しみを奪われるなど信じられない。
さも、不満と言わんばかりにローレシアはワインを開けるとグラスに注ぐ。
だが、次の瞬間甲板の方からアリシアの悲鳴が聞こえ、
思わずワインを零しそうになるローレシア。
「何なんだ……一体」
苛立った口調でローレシアは呟くと、立ち上がり部屋を出ていく。
何だかんだ言ってもアリシアが気になるのだ。
その様子をロードスは笑いながら追いかける。
勿論ローレシアにばれないようにだ。
甲板に上がると綺麗な、何処までも響き渡るような歌声が聞こえた。
だが、これは――――――
「不味い!セイレーンの歌声だ」
ローレシアはそう呟くと、血相を変え、
アリシアが居たと思われる甲板に向かって走った。
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