港町ルーバン   3









魔術師っていろんな人がいるよなー
と、アリシアは思いながら視線を下げた。


だが、今のところレインとローレシアは性格が悪いと言うことが分かった。
どことなくこの二人、似ているのだ。
なんでかは知らないが………


もしかしたらロードスも意外と性格が悪いのかも知れない。
外見に騙されるな、アリシア!!
一人でそう呟いていると、ロードスが不思議そうに見てきた。


ああ、そんな顔でこっちを見るな!
内心そう思いつつもけして言葉には出さないアリシア。
そんな子どもを心配するような目で見られてもちっとも嬉しくはない。
寧ろ逆に苛立ってくるほどで……





「……兎に角、さっさと船乗って行きましょ?生きてられるか分からないけど」



「大丈夫よ私がいるから」





勿論笑顔で言うが、そんなもん当てにならない。
アリシアは一人静かにため息をつくと、重たい足を引きずるように船に乗った。
潮風が頬に当たる。
ぎし、と揺れた瞬間でもうノックアウトだ。
思わずその場で倒れそうになると、
ローレシアが呆れたようにアリシアの身体を支えながら言った。





「まさかこれだけで酔ったの?」


「いや、ちょっと気持ち悪くなっただけで……」



「同じよ」





キッパリ言い切るローレシアに一瞬アリシアは怯む。
なんかシリアお姉さまに似ているような気もしなくはないが―――――
特に自分勝手なところとか。




「ま、いいわ。こんな所で吐かれても困るし」





処理が大変でしょ?と、言うとローレシアは何かを小さく呟く。
その途端、淡い光が発したと思うと、すぐに消える。
と、同時に身体が軽くなった感じがするのは気のせいだろうか?




「どう?身体、軽くなった?」



「う、うん。何か凄い……かも」




軽くなった体をくるくる動かしていると、
ロードスが感心したように呟く。




「流石ローレシア様。あんな高度の魔法をいとも簡単に唱えるとは」


「まーね。これぐらい出来なきゃ困るでしょ」





仮にも、最強って言われるんだからさ。と、笑顔で言うと、アリシアに抱き掛かる。
急に身体が重くなったことに驚いたアリシアだが、
すぐにローレシアの顔が近くにあることにアリシアはにっこり笑いながら叩いた。




「コラ、なにしているんだ。あんたは」


「ま、どっかの船酔いさんに魔法をかけたあげたから疲れちゃったのー
少しぐらい寄り掛かってもいいでしょう?アリシアちゃーん」



「ぎゃーやめて!!重い、潰れるー」





全体重を掛けてくるローレシアに死にそうな声を上げるアリシア。
その様子をひっそり楽しげに見ているロードスはやっぱり黒いのかも。











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