レインを探せ   5









「さて…私がここに来た理由が分かりますか?」


「……………大体、何となく予想はつきます。アリシア姫の事なのでしょう?」





神妙な面もちでレインが呟くと、ダリアは小さくため息をつきながら肯定した。





「その通り。実はアリシアちゃんが貴方と婚約破棄したいってはっきり言ったのよ」


「…………今、なんて言いました?」




その言葉に一瞬固まるレイン。明らかに動揺しているのが分かった。
別に今までだって結婚するのは嫌だと言っていたのだ。
たかがそんな事を言ったぐらいで――――




「本気なんですか?アリシア姫は」


「ええ、私が見る限りでは本気でしたよ」




でもね、と…続けるダリアの表情が急に無くなった。
驚くほど真剣な表情にレインは言葉を無くす。
ダリアはゆっくり言葉を紡いだ。




「私はアリシアちゃんの言葉が本気だとは思えなかったらここに来たの。
貴方とアリシアちゃんの間に何があったのか……
でも、どうやら原因はエリス姫のようね」



「…………………」





黙り込むレインにダリアは更に続ける。





「あの時のアリシアちゃんは確かに本気でした。でも、私にはこう見えたの。
無理しているような感じがね……あの子、私に言ったの。
レインを追いかけるのは疲れてしまったと。その時の表情は今にも泣きそうで……
分かりますか?あの子がどんな気持ちで婚約破棄を言ったのか」



「…………………」






それは……アリシアが自分を好きだからそうなった結果と考えてもいいのか?
レインは薄く笑みを浮かべると言った。





「ダリア王妃、婚約破棄はまだなさってないんですよね」



「ええ」



「でしたら、私がアリシア姫と会って話をしてからにして貰いたい。
絶対婚約破棄を彼女の口から取り消して見せますから」





どことなく綺麗な笑みを浮かべると、レインはそう呟く。
だが、瞳は真剣そのもので……ダリアはくすくす笑うと言った。





「そう言う表情をするところはローレシアそっくりねぇ」




やっぱり師匠と弟子のことだけはあるわ。と、笑うダリアにレインも笑う。
その瞳はとても優しげなモノだった。




「ええ、この性格の悪さも師匠譲りです」


「そのようね……そうそう、言い忘れていたけど
アリシアちゃん今ローレシアと一緒にいるわよ」




「――――――はい?」





意味が分からず聞き返すレインにダリアはキッパリ言い放つ。
それは地獄の宣告のようなモノだった。




「だから、アリシアちゃんはローレシアと一緒に旅をしてるんだって」


「また何であの人は……」




思わずレインは頭を抱え込んだ。












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