港町ルーバン   1









魔法都市アルテイルスに行くには港町ルーバンに
行かなければ絶対に行くことが出来ない。


何故なら、魔法都市アルテイルスは唯一の島国であり、
また、大きな都市国家でもあったため、
ルーバンの港から来た船でないと入れてもらえないのだ。



そして今、二人はルーバンに到着したところだ。
潮風が新鮮に感じる。クロレシア王国の近くには海がないため、
こうやって海に来るのは久しぶりなのだ。






「んー気持ちがいいな」





アリシアが背伸びをしているとローレシアは辺りを見渡した後、言った。





「此処も随分と変わったね……」



「来たことあるんですか?」



「そりゃ、当たり前でしょう。月日が経てば人も場所も自然と変わるモノよ?」



「…………何か年寄りみたい……ローレシア」



「それは言っちゃ駄目」






禁句でしょ。と、いいながらローレシアはアリシアの頭を叩く。
意外とこれがいたかった。
くそう、わざと思い切り叩いたな……
内心アリシアはそう思いつつも先に歩いていくローレシアの後を追った。
ふと、アリシアは思い出したかのように言う。





「そう言えば魔法でアルテイルスに行っちゃいけないの」





そうすれば船で行くなどと言うめんどくさいことをしなくてすむのに。
そんなアリシアの考えを察したのか、ローレシアは残念でしたと言った。




「外部のモノを入れないように島の周りに結界張ってるのよ。
間違えて魔法で行ってみなさい。海の藻屑とかすから」




「…………………」





こわっと内心思いつつもアリシアはため息をつく。
実はアリシア、海は大好きなのだが、船は大嫌いなのだ。
理由は言わずとも知れたこと……



船酔いするから。



昔、一度だけ船に乗ったことがあったが、はっきり言ってヤバイ。
マジで死ぬかと思ったほどだ。
シリアやゼバイルは楽しそうにしていたのが、アリシアは酷かったのを覚えている。


本当、何であんなに普通でいられたのか不思議だったものだ。






「私の命も此処までね」



「何言ってるの?アリシアちゃん」





不思議そうに聞いてくるローレシアにアリシアは冷や汗をかきながら言った。



「私、実は船が苦手でして………」



「は?」



「だから乗ったら死ぬかもって話です」



「…………」




呆れたように見てくるローレシアの瞳が冷たいと感じる今日この頃……















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