レインを探せ   1









アリシアが外に出掛けている間、城の中は大騒ぎになっていた。
いや、出る前から騒いでいたか。

ともかく、理由は一つ。


レインを探すという理由でダリアまで城を出ようとしたからだ。
それには流石に城中で大騒ぎになった。
まさか王妃までそんなレインを探し出すために城の外に出るなど危険だ。
何かあったらただ事ではすまない。


無論、国王が必死の説得に走るが撃沈。
元々、立場の低い国王では王妃を止めることなど不可能に近かったのだ。
笑顔で「貴方は此処で待っていて下さい」などと言われたら引き下がるしかないだろう。
ある意味莫迦とも言えよう。こんなのが国の王となれば行く先の未来が心配だ。



次に説得に入ったのはゼバイルだった。
流石にそれはヤバイと分かっているため、無謀だと知っていてもゼバイルは説得する。

説得すること五分、呆気なく破れた。

理由は一つ。途中でシリアがダリアの味方をし、ゼバイルを撃墜したからだ。
何を言われたかは知らないが、灰と化しているゼバイルを無視し、歩き出す二人。



ダリアとシリア。ある意味最強のコンビだ。




無論この場合、兵士など無意味だ。何人束になろうと役には立たない。
仕舞いには、シリアの言葉にうっと言葉を無くし、
その場を走り去る兵士が後を絶たない。



何を言われたのかはその兵士に聞かなければ分からない。
兎に角、最強とも言える二人が城を出たとき、ポンッと音を立て何かが落ちてきた。
どうやら誰が手紙を送ってきたようだ。



しかもダリア宛。




中を出して見ると、そこには七色に光る虹色の文字で何かが書かれていた。
光に当たるたびに色が変化していって綺麗だ。
シリアは瞳を細めると尋ねた。





「誰からの手紙?」



「私の古い友人よ。ローレシア・フィスティーラ。世界最強と詠われる魔女よ」



「ローレシアねぇ……そんな凄い人がお母様に何のようで手紙をよこしてきたの」







不思議そうに尋ねるシリアにダリアは楽しそうに言った。






「どうやらアリシアちゃんと一緒に魔法都市アルテイルスに行くらしいわよ。
で、その報告を兼ねて、レインのことを宜しくって」



「あら、私達が会いに行くのまるで知っているみたいな感じだね」



「ま、昔からそんな感じだったから」






特にしにした様子もなく、呟くダリア。
こんな二人に狙われた可哀想な人物、
通称―――性悪魔術師レインは何処にいるかというと……


実はまだラファエル王国で足止めを食らっていた。











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