決意の瞳   3









「アリシアちゃん、レインとの婚約を破棄するようね…なんでかしら」


「やっぱり盗み聞きしていましたか、シリアお姉さま。
別に理由は様々ですが教えたくありませんので言いませんわ」



「まぁそう言わず教えてくれても良いじゃない。原因はもしかしてあの赤い髪の女かしら?」




「…………………」







ピキッと急に空気が凍った音がするのが分かる。
ゼバイルは思わず青ざめた。最初からアリシアの頭の上に爆弾を落としたようなものだ。
薄い笑みを浮かべているアリシアが怖い。
それでも臆することがないシリアにある意味敬意を表したい。





「何処からその情報を仕入れたのかは知りませんけど、私には関係ないことです。
それでは……失礼します………」





堅い表情のままアリシアはシリアとは逆方向に歩んでいく。
そして、そのままあっという間に姿が見えなくなってしまった。
完璧怒っていたのは誰の目から見ても明らかだ。





「シリア……何でお前は何時も事を厄介にするんだ……」


「あーら、だってはっきり聞かなくちゃ分からないじゃない」



「だからって」




あれはないだろう。と、ゼバイルは顔を顰める。
アリシアの顔が一瞬見えたが、今にも泣きそうなほど歪んでいたのが分かる。
何かあったのは確実だ。
その赤髪の女とアリシアの間で………




「困ったわね…折角レイン君とアリシアちゃんをくっつけようとしていたのに」



「ダリアお母様;;驚かさないで下さいよ!!」




考え事をしている最中、急に割り込んできたダリアにゼバイルは驚き後ずさる。
頼むから後ろから話しかけてくれな;;
まったく、わざとじゃないのか?


と、思うほど清々しい笑顔を振りまくダリアにゼバイルは大きなため息を付いた。
一方のシリアは困ったように肩を竦めるとダリアに向き直った。




「で、ダリアお母様はどう思われます?その赤髪の女性について」


「どうって言われてもねー赤髪の女性なんて山のようにいるわよ?
それを振り払わないで一緒にいたって事は……知り合いなんでしょうけど……」





それは私も調べてみるわ。と、ダリアは締めくくった。
それより何より一番ヤバイのはアリシアの状態だ。




「まさに失恋しましたーって感じだもんね。何とかしなきゃあの子やばいわよ」



あくまで軽い口調だが、アリシアを心配しているのは分かる。
そんなシリアにゼバイルは呆れたように見つめ密かにもっと素直になればいいのに。
と、思った。




「兎に角、全てを知るにはレインを捕まえて拷問にかけた方が早いわね」





い、今、サラッと危険な事を言わなかったか?シリアのヤツ。
ホント、此奴だけは危険だな。などと思いつつレインを少し哀れに思ったゼバイルであった。



















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