決意の瞳   2









「ねぇ、どういうことだと思う?」


「あの性悪魔術師と何かあったのは確実だな」



でも何があったのだ?
シリアとゼバイルは顔を見合わせながら首を傾げる。
確かアリシアはそこまでレインを嫌ってなかったはずだ。
いや、寧ろ最近では好きになりかけていたのかも知れない。
無論それはシリアの憶測だ。

本当のところがどうなのかは全く見当もつかない。




だが―――――――




「何かあの二人の間であったのは確実ね」


「だから何があったんだ?」



「それが分かれば苦労しないわよ!」




ダリアとアリシアが会話をしている部屋のドアに
へばりつきながら二人は小声で口論をする。

本当は部屋の中でもっとちゃんと聞ければいいのだが、
ダリアが中に入れてくれ無かったのだ。



それにしても―――――――



何かあったとすればあの仮装パーティーの時だ。
しかも何かアリシアがあそこまで怒るようなこと……
怒るようなことをレインがした…………






「あ………まさかね………………」





でも……と、考え込み出すシリア。
その様子にゼバイルは皺を寄せると瞳を細めた。




「何を考えて居るんだ?」



「いやー、ね?あの仮装パーティーの時レインと共に一緒にいた女、見た?」



「仮装パーティーの時?」




その言葉にゼバイルは考え込むように瞳を伏せると、首を横に振った。
大体、あのレインが女を連れているとは思えない。

一応女にはもてるが、アリシア一筋なのはゼバイルも内心認めていたからだ。
だからこそレインが女を連れていたという真実が信じられない。





「それ、本当か?」





思わず聞き返すゼバイルにシリアはムッとしたように言い返す。




「あら、本当よ。赤いロングストレートの髪に翡翠色の瞳をした女よ。
レインにベットリくっついていたのを私は見たんだから」





だけど―――――まさかね……
アリシアが嫉妬したぐらいでそんな風になるとは思えないし。



うーんと悩み出すシリアにゼバイルは首を傾げた。
どうしたのかと思い、シリアが視線を向けるとゼバイルが呟いた。




「………赤いロングストレートの髪に翡翠色の瞳をした女……か、
何処かで見たことがあるような外見だな……でも何処だったか……」




再び首を傾げ出すゼバイル。
本人を見ればもしかしたら思い出すかも知れないが―――――
生憎、何処にいるのかも知れない女だ。
探し出すのすら大変だろう。



ふと、その時聞き耳を立てていた部屋のドアが開く。
そして出てきたのはアリシアだった。




「何しているの?お兄さま、お姉さま」



「ア、アリシア………」



「あら、もう話が終わったの?」




突然現れたアリシアに驚いたように目を見開くゼバイルに対し、
シリアは動揺することなくにっこり笑う。
内心ゼバイルがホント食えないヤツだと思ったのは秘密だ。








top next