もう一度愛の告白を… 3
「ふふふ、青春だねぇ……」
シリアは人気の少ないベランダの柵に寄り掛かりながら呟いた。
先程までアリシアとレインとの様子を見ていたのだが―――
あの様子だとアリシアもレインのことが満更でもなさそうだ。
いわゆる両思いってヤツかね。
シリアは意味ありげな笑みを浮かべると一人で笑う。
そして呟いた。
「んで、何時から気づいたのゼバイル王子様?」
「………そうだな……お前がアリシアを置き去りにしてその場を去ったときからか」
「ふーん。流石、長年一緒にいることだけはあるね」
感心したようにシリアは笑うと顔を横に向けた。
そこには懐かしい弟の姿がある。
ゼバイルだ。
何故彼だけ元の姿に戻っているのかは不思議だが、聞くまでもないだろう。
「アリシアちゃんと喧嘩したでしょ?珍しいわね…
ゼバイルとアリシアちゃんが喧嘩するなんて。
てか、あの子喧嘩なんてしない子じゃない。
つーことはあんたの方に原因があるわけだ。
なーにしたのかな?ゼバイルくーん??」
にっこり笑みを浮かべながら聞いてくるシリア。
男の姿をしている癖に君付けするな!と、言いたいところだが、
それをしたら殺されるのは目に見えているため言わない。
そもそも、此奴は城に居るんじゃ無かったのか?
不審そうな視線を向ければシリアがせかす。
「ほら、はやく言えってよー。心当たりぐらいあるだろう?」
「だが、俺だけが悪いわけではないと思う」
「それを決めるのは俺。だから早く言いなさい」
「…………………」
恐ろしい笑みを向けてくるシリアにゼバイルはポツリ、ポツリと合ったことを話す。
そして聞き終わったシリアが呆れたような視線を向けていった。
「あんた莫迦?」
「何故みんなでそう言う……」
「確かにアリシアちゃんも悪かったところがあるけど、
基本的にはあんたが悪い。わかってる?アリシアはあんたの結婚を心配して、
あの性悪魔術師にお願いしたのよ?彼奴がただでお願い聞く分けないでしょうが!!
それなのに言いたくないアリシアに責めよって……兄失格ね」
「……………っそこまで言うか?」
「うん。言ってやる」
「………………」
シリアの言葉に落ち込むゼバイル。だが、ゼバイルは何かを決めたように言った。
「謝ってくる」
「ああ、ちょいまち。それは明日にしなさい。今日はいろいろあるからね…
ま、修羅場ってヤツね。いわゆる………」
「?」
「ま、多分結果は目に見えてるけど」
シリアはにっこり笑うと空を見上げる。
夜空には一面の星が散りばめられているようだ。
―――――――今夜でアリシアの初恋は終わるわね………
ゆっくりと瞳を閉じるとシリアは小さな弧を口元に描いた。
|