もう一度愛の告白を… 2
好きな女性――――その言葉を言われた瞬間アリシアは真っ赤になる。
まさか真っ正面からそう言われるとは……
「な、何言ってるのよ……私はあんたのことなんか――――」
好きじゃない。大嫌い。そう言えばすむことなのに言えない自分が居る。
何故?城を出る前までは普通に好きじゃないと言えたのに……
――――――何故……
思わずアリシアは困惑した表情になる。
自分が好きなのはたった一人、昔からずっと変わらない。
そう、フェイルだ…だが、今は――――今は?
振り向いて貰えず、ずっと思い続ける毎日。
だが、彼が気づくことはない。
ましてや私は恋愛の対象外としてみられている。
……………彼が好きなのはシリアお姉さまなのだから。
美人で綺麗なお姉さま………
誰もがシリアお姉さまの魅力に惹かれる。
そして、断られればそのかわりとして私を求める……
だからレインもそうだと思っていた。
だが、彼は――――――――
真っ直ぐな瞳を向け、告げてきた。
自分が好きなのはアリシア……私だと。
どうすればいい、どうすれば…………………
気持ちの整理がつかない。
アリシアは瞳を細めながらそう思った。
そして、漸く今気づいたこと。それは――――――
今まで見たいにレインを嫌いではないことと、
何処か大切な人と思っていること。
それは今まででは有り得ないことだ。
だが、この小さな姿にされ、追いかけ回っているうちに少し心に変化が起きた。
それは自分でも分かっている。
だから困っているのだ。
何と返事を返して良いのか……
ぴたりとアリシアの踊っていた足が止まった。
レインが不思議そうに見てくる。
嫌だ……気持ちがグチャグチャで分からない……
「………………ちょっと、一人にして………」
「……………アリシア姫……」
とてもアリシアが出したとは思えないような低い声がレインの耳に届く。
思わず身体に回していた腕の力を緩めるとスルリとアリシアは抜け出す。
その姿があまりにも儚げで―――――
「一体どうしたのですか」
不安そうに聞いてくるレインにアリシアは消え入りそうな声で呟く。
その言葉に一瞬レインは固まる。
その間にアリシアは逃げるようにその場を後にした。
まるでその瞬間だけ時が止まったかのようだった。
急に人々のざわめきが耳に入ってくる。
だが、それどころではなかった。
彼の顔に今までの余裕は見られない。
まるで焦って居るかのようだった。
『――――――私は………フェイル王子が好きなの、邪魔しないで』
それはまるで大きな水たまりに大きな石を投げ入れたときにできる波紋に似ていた。
ザワザワと心がざわめく。
まさかこんな言葉を言われるだけで動揺するとは………
「まだまだ情けないな……俺も。だけど……アリシア姫……」
――――――その言葉は本音には聞こえませんでしたよ。
レインはそう呟く。
アリシアの気持ちは確かに知っている。
だが、その瞬間、呟いた表情は今にも泣きそうだった。
つまり、それは本音ではないと言うことだ。
少しは期待しても良いんですかね………
レインは一人笑みを浮かべると泣き虫のお姫様を探しに行く。
ゆっくりアリシアの気持ちが傾きだしているのにレイン気づいた。
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