もう一度愛の告白を…   1









えーと、誰でしょうか?


まず、アリシアはそれを思った。
今、目の前には見たことがない男が一人。
しかも格好いい部類に入りそうなぐらいだ。



焦げ茶の髪に青い瞳………




何処かでみたことがある気がするのだが、分からない。
いや、そもそも誰なのだ?この男は。
ま、助かったことには変わりないけど。



不思議なモノを見る目で見たら男はにっこり笑った。
そしてアリシアの手を重ねてくる。
その姿がレインに重なってアリシアは自然と頬が赤くなるのが分かった。




「もうすぐ曲が始まりますし一曲いかがですか」



「ええ、喜んで」




この場を逃げられるチャンス!!


そう言わんばかりにアリシアはその手を掴む。
一瞬ゼバイルは男を不審そうな目で見たが、何も言わずにその場を後にした。
フェイルも一瞬此方を見てきたがすぐにその場を離れる。




そのまま曲が始まった。




城にいた頃はダンスをきっちり覚え込まされたのでちゃんと踊れる。
いや、この男もなかなか踊りが上手い。



ふと、男が声を掛けてきた。




「その姿もなかなか似合ってますね、アリシア姫」


「――――――なんでそれを…………」


「シリア姫の方はあっという間に私に気づかれたようですが…まだ気づきませんか?」



その言葉に一瞬嫌なことが思い浮かぶ。
この男……やっぱり――――





「レイン…………」



「正解です」



「やっぱり……」





何処か呆れたようにレインを見るアリシア。
だが、此処でダンスを止めるわけにも行かずずっと踊る。






「それよりいい加減呪いを解いてくれないかしら?」


「でしたら私と結婚して下さい」


「それは嫌」


「でしたら駄目です」


「……………………………………」






此奴………ホントぼこしてやりてぇー
しかも何でこんなに偉そうなのか気になるし。
不満顔しているアリシアに気づいたのか、レインは笑みを浮かべる。




「折角ゼバイル殿の魔の手から助けてあげましたのに……」


「……………;;」



おい、今さらりと凄いこと言わなかったか?
魔の手から救ったって……



ゼバイルお兄さまは魔王か何かなのか?
思わずそう思うがまぁ、あの時はそんなようなもんだったかなと思うアリシア。
これを聞いたら間違いなくゼバイルは激怒するだろう。





「で、何でこんな所にいるのよ」




じろりと睨み付ければ、レインはにっこり笑った後ほざいた。





「そりゃあ好きな女性が見知らぬ男と楽しげに歩いていれば気になるのも当然でしょう。
ま、一瞬でシリア姫だと言うことは分かりましたけど…」









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