仮葬パーディー 4
「なあ、本当にアリシアは来るのか?」
きちんと身を整えたゼバイルがふと、呟いた。
昼間、フェイルと共にアリシアがいそうな場所を探したが、結局見つからなかった。
そして今、仮装パーティーに出席している。
本当はこんな所に居たくはないのだが……
「うーん、多分来るんじゃないかな?」
「お前が居るからこそ俺はこなそうな気がするんだけどな」
思わずポツリと呟くゼバイル。
絶対来ないと思うのは俺だけなのだろうか。
確かにアリシアの態度を見ていれば一目瞭然だが……
多分、来るか来ないかと言えば来ない確率が高い。
いや、そもそも今の姿のアリシアじゃ城にすら通して貰えないだろう。
「―――――やっぱり俺はアリシアを探しに行く」
こんな所に居るだけ無駄だ。
と、言わんばかりに出口に向かい歩き出すゼバイル。
だが、フェイルがそれを許すはずもなく…
「おい、待てよ。今日の主役はお前なんだから何処か行くなって。
只でさえ女性からの視線が凄いのに、お前が居なくなったら俺一人に集中するだろうが!」
それだけは勘弁だ。
と、言わんばかりのフェイルにゼバイルは冷たい視線を向けるという。
「俺はもうすぐ結婚するんだぞ。そんな奴に視線を送る奴が居るか」
「そこらじゅうに居るだろうが!!気付よ莫迦!」
「莫迦って言うな。第一、お前が相手をしていれば問題はない。
大体、お前の国だろう。何とかしろ」
俺には関係ない!と言いその場を離れようとした時、
入り口の方が急に騒がしくなった。
双方から黄色い声があがる。
一体なんだというのだ?
ゼバイルとフェイルは不審そうにそちらに視線を送ると
そこには若い男女のカップルらしき人が二人立っていた。
一人は亜麻色の髪にアメジストの瞳をした女性だ。
もう一人は青みがかった黒髪に翡翠色の瞳をした男性。
だが、どちらも申し分もないくらい顔が整っている。
まさに美男美女のカップルと言ったところか。
女性の方は恥ずかしいのか顔を赤らめ下の方を向いている。
一方の男性は寧ろその状況が楽しいと言わんばかりに
女性の腰に手を回しエスコートしていた。
見るからに不思議なカップルだ。
だが、あの二人……何処かで見たことがあるような…ないような……
無論、あんな二人を見たのは初めてだ。
初めてな筈なのに何処かで知っているような気がする。
フェイルもそれを思ったのか、不思議そうな顔をしていた。
「なぁ、お前の知り合いか?」
ゼバイルの問いかけにフェイルは首を振る。
その表情は何かを思い出そうとしている感じだ。
「いいや、俺は初めてみたぞ。二人とも……だけどどっかで見たことがあるような…」
謎は深まるばかりだ。
「本人達に直接聞いてみるか」
「そうだな…」
フェイルの言葉にゼバイルは頷くと、一目を引いている二人の男女の元に足を向けた。
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