仮葬パーディー   3








煙から出てきたのはアリシアとは全く別人の姿をした女性だった。
黒く長かった髪は亜麻色のウェーブ髪になっており、
薄ピンク色の瞳はアメジストの瞳に変わっていた。


思わず鏡の前で呆然としているアリシアの周りでシリアはにっこり笑う。
まるで大成功と言わんばかりの笑みだ。




「ふふーん。やっぱりこういう姿のアリシアちゃんも可愛いよね!
これなら多分、ゼバイルやフェイル王子にあっても気づかれないと思うし!
私って天才〜?じゃなかった……言葉遣いも気を付けなくちゃいけないな」




シリアは急に神妙な顔をするとそう呟いた。
確かに男性がそんな女性みたいな喋り方していたらただの変人にしか見えないが…





「それにしても嬉しそうですね…お姉さま」




アリシアがジトリとした瞳で見れば、シリアはゆっくり笑う。





「だって、この姿でいけばアリシアちゃんとも恋人同士に見えるかなー
とか、思ったりしてさ。美男美女のカップルの出来上がり〜♪」



「……また、そんなこといっちゃって……」



「良いじゃん、良いじゃん。こういう面白いことわた……じゃない俺、
大好きだしvvアリシアちゃんも協力してね。俺の彼女として!
あー楽しみだな〜彼奴がどんな顔するのか」





ノリノリの姉を止めることなど出来るはずもなく、アリシアはため息を付くと諦める。
それより自分はレインを探さなきゃいけないと言うのに…
そんなアリシアの気持ちを察したのか、シリアは大丈夫と笑った。





「レインなら必ず仮装パーティーに来るから。
第一、アリシアちゃんが見知らぬ男と一緒に居るなんて事聞き逃す分けないし、
きっと仮装でもして来るんだよ。愛されてるね〜アリシアちゃん」



「ち、違います!!」




「あー、赤くなっちゃって可愛い!!」





またしてもギュッと抱きしめられ、アリシアは更に赤くなる。
今までもこう言うことは沢山あったが、今のシリアはあくまでも男だ。


こう、格好いい男の人に抱きしめられると流石のアリシアも恥ずかしい。
中身があのシリアお姉さまと知っていても……





「なんだか疲れそう……」






思わずアリシアはため息を漏らす。
その表情は心なしかゲッソリしていた。


幾ら外見が違うとは言え、気づかないものなのだろうか?



ゼバイルお兄さまって結構鋭いから気づきそうで怖い。
まあ、最初は気づかなかったが、シリアお姉さまが喋り出すと完全に分かった。


それだけ一緒に過ごしていると言うことだが……




お兄さまは私以上にシリアお姉さまのことを知っている。





兎に角、ばれなきゃ良いけど…などとアリシアは遠い目をしながら思った。















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