一人っきりの旅   1








ゼバイルと喧嘩をし、城を抜け出してから早、一週間。
既にアリシアは目的地、ラファエル王国付近まで来ていた。


今のところ、誰も知り合いにはあっていないが、
絶対この姿で彼だけには会いたくない。と、アリシアは思っていた。



本来、この姿でラファエル王国に来ることすら嫌だったのだ。
もし、こんな姿で居るのがばれたら……





「死にたくなるかも………」





はぁ、とため息が漏れる。
そうなのだ。此処には彼が居るのだ。


そう、ラファエル王国の王子―――――フェイル王子が……




「ばれなきゃ良いか」




アリシアは心の中でそう思うと再び歩き出す。
この際仕方がない。


ばれないことを祈るだけだ。



第一、国の王子なのだからそんな城下町にはそんなに来ないだろう。
とにかく今はレインを探すことだけを考えなくては。






町にはいると其処は賑やかな城下町になっていた。
その城によって城下町の特色が違うから見ていて楽しい。


ここの建物のほとんどが白と青で構成されていた。




「なんで二色なんだろう?」




どうでも良い疑問が頭の中を捩る。
とにかくレインを探さなければ……



とりあえずアリシアは片っ端から人に聞き回る。
彼の特徴を伝え、見たことがないか。


だが、誰もそんな人物を知らないと言い切るのだ。






「すみません、銀色の髪にスカイグレーの瞳をした青年を見ませんでしたか?」



「うーん、そんな外見の人は見なかったよ」



「そうですか…すみません」








一体この会話をどのくらい繰り返したのだろうか?






「つ、疲れた」





人に聞き込みをしていたアリシアだったが、流石に疲れたのかその場に座り込む。
幾ら聞いても誰も知らないと言うのだ。






「何で誰も知らないのよー」






本当にこの国に来ているのだろうか?
それとも遊ばれただけか?


からかわれたのか……まさか……






「だとしたら絶対許さない」





怒りを込めた瞳で空を見上げると思わずそう呟く。





だが―――――



誰でも良いから何か知らないのだろうか?
アリシアが少しうなだれていると、見知らぬ男が話しかけてきた。




「先程から誰か探しているみたいですが、 それなら向こうの方で同じ外見をした男性を見かけましたよ」




「ほ、本当ですか!!」




その言葉にアリシアはハッとその人物を見上げる。
男は人懐っこい笑みを浮かべながら言う。






「ええ、そうです。あちらの裏通りの方に歩いていきましたから……」



「有り難う御座います!それでは早速……」





アリシアは男が教えてくれた方に向かって走る。


だが、その様子を見ていた男が不思議と笑ったのに気づかなかったアリシアであった。









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