性悪魔術師VSシスコン兄   4








「私が何故剣で貴方と戦おうと思ったか分かりますか?」





不敵な笑みを浮かべ、言葉を紡ぐレイン。
その言葉に一瞬ゼバイルは攻撃を緩める。


何かを感じ取ったようだ。



素早くレインとの間合いを取るとスッと瞳を細めた。





「……剣術が得意でない人間が、わざわざ剣を選んで戦うときは
必ず勝てる自信があるときだ。――――どうやら何かあるみたいだな」



「ええ、偶にはやらないと剣の腕も下がってしまいますからね…」




レインはそう呟くと、剣を二本から一本に減らす。
そして剣をゼバイルに向けるとにやりと笑った。

まるで人を莫迦にするような笑い。



だが、その瞳はけして笑ってはいなかった。



「本気……と、取った方が良いのかな、その台詞は」


「勿論ですよ。では行きますよ」



そう呟いた瞬間レインは既にゼバイルの前まで来ていた。
咄嗟のことにゼバイルは剣でその攻撃を防ぐ。

その反射神経は流石と言いたくなるものがある。



だが、レインが何かを呟いた瞬間、剣の形が変わるのが分かった。


あれは――――――氷の刃?



アリシアは瞳を見開くと驚く。

ゼバイルも突然剣の状態が変化したことに驚いたようだが、
一瞬にその表情は堅くなる。





「くそ、まさか魔法と剣を組み合わせるとは……!!」



「流石ゼバイル殿。一瞬で気づくとは流石です。ですが―――」







このままでは勝つことは不可能ですよ?

レインが更に強い一撃をゼバイルに浴びせる。
一瞬ゼバイルがひるんだような気がする。


今までとは比べモノにならない力だ。



ガン!っと金属が重なり合う重い音がその場に響いた。
あと一発…当たったら多分吹き飛ばされるだろうな……

流石にあの重い剣を受け止めるのは流石に辛いな。




「どうしました?流石に辛いですか?その剣で私の攻撃を受け止めるのは…」


「うるせーお前なんかに負けたら俺のプライドが傷付くだろうが」


「そうですか…では負けて下さい」


「!?」





再び始まった攻撃にゼバイルは受け止めるが、
次の瞬間激しい衝撃とともにゼバイルの剣が吹き飛ぶ。


数メートル離れた場所に剣はグサリ、と突き刺さった。


その様子にレインは楽しげに言った。







「どうやらわたしの勝ち…のようですね」


「くそっ……」




短いゼバイルの叫び声が響く。

その様子にアリシアは唖然としながら見ていた。


「嘘……ゼバイルお兄さまが負けるなんて………」



生まれて一度もいたことがなかったゼバイルの敗北。
だが、この瞬間アリシアは見てしまった。




「あ、あ、ありえない」





思わずそう呟いてしまった瞬間だった。









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