零れた落ちたもの。それは… 2 リーナ姫がにっこり微笑む中、アリシアは目の前の国王を見つめた。 まさかそんなことを言ってくれるとは… 「有り難う御座います、国王様」 嬉しそうに頭を下げるアリシアに、国王は優しい笑みを向ける。 リーナ姫はそんな国王に優しい笑みを向けた。 「ですがお父様…結婚式までにゼバイル様の魔法は解けるのですか?」 「それは儂にも分からない。だからアリシア姫とゼバイル殿がここまで来て結婚を先送りにしてほしいというのだから方法がないのだろう」 「………結婚を先送り…本当ですかお父様」 驚いたように声を上げるリーナに国王は困ったように頷く。 「今のゼバイル殿とは結婚できないだろう。今の彼は女性だ。分かってくれ、リーナ」 「……分かっていますわ。わたくしの我が儘でゼバイル様を困らせることだけはしたくありませんもの」 ゆっくりリーナは微笑むとゼバイルを見る。 その瞳は悲しみ、揺らいでいた。 思わずゼバイルは悲しそうな表情をする。 「リーナ姫………」 「分かっていますわ。だから何も言わないで下さい」 そう呟くとリーナ姫は部屋から出ていく。 ゼバイルは追いかけそうになる体を必死で止めた。 その表情は彼女を苦しめてしまったという真実だけが語られていた。 「――さて、これからどうするつもりかな?二人とも……」 急に真剣な表情になった国王にゼバイルは静かに答える。 「………呪いを解くため、レインを追いかけます」 「国王様、レインを何処かで見かけたという情報が合ったら教えてほしいのですが、何かありますか?」 アリシアの言葉に、国王は答える。 「―――噂ではラファエル王国に行ったという話を聞いたのだが…」 「ラファエル王国!!」 アリシアがその言葉に大きく反応する。 だって、あの国には―――― 思わず頬が赤くなるのが分かる。 それと同時に悲しい気持ちになった。 ゼバイルも驚いたように呟く。 「ラフィール王国ですか……でも何故そんな場所にレインが……」 ありえないと言わんばかりに顔を顰める。 レインが絶対行きそうにも無い場所だからだ。 「だが行ってみる価値はあると儂は思う。二人とも今日は城に泊まり、明日また旅を始めればいい。その方がリーナ姫も喜ぶだろう」 流石に自分の娘を心配になったのか、国王が呟く。 ゼバイルもその心遣いに感謝しながら頭を下げた。 「有り難う御座います国王」 「それでは失礼します」 二人はそう呟くとそのまま部屋を後にする。 どうやら今日は久しぶりに大きなベッドで寝られそうだ。 |