最強の姫君、リーナ姫   3








漸く城の中に入ったアリシア達。
と、言っても門をくぐっただけだ。


ここからがまた長い……



遙か遠くには巨大な城がそびえ立っている。
アリシアは何度か見たことがある風景に瞳を細めた。





「でも、あんな遠いところに歩いていくの?」





やだなーとでも言いたげなアリシアにゼバイルは先に進みながら言った。





「嫌ならそこに居ればいい。だが、俺は先に行くけどな」



「ちょっと…まってよゼバイルお兄さま!!」




焦ったように後を追いかけるアリシア。
ふと、前方の方から馬車が走ってくるのが見えた。


誰か城を出るのだろうか?
不思議そうにアリシアは止まると道の端による。



だが、馬車はアリシア達の目の前で止まった。
途端にゼバイルの顔が青ざめるのが分かる。



誰が中にいるのか分かったのだろうか?




アリシアは不思議そうに首を傾げる。
だが、次の瞬間ゼバイルが青ざめた理由がわかった。




そう、馬車から降りてきたのは紛れもなくリーナ姫だったのだから。




金色のウェーブ髪が風に揺れる。
と、同時に深緑の瞳が細められた。


口元には嬉しそうに弧が描かれていた。



その笑みは天使の笑みと言っても過言ではない。



リーナ姫はゼバイルを見つけると嬉しそうに口を開いた。






「まぁ、まぁ、まぁ!ゼバイル様、予想以上にお綺麗ですわ!
やはりわたくしの目に狂いはありませんでしたわ!!」



「リーナ姫……とりあえずお久しぶりです」





恭しく頭を下げるゼバイルにリーナ姫はさらに嬉しそうに瞳を細めた。




「そんな態度をしなくても宜しくてよ、ゼバイル様。
仮にも私達はもうすぐ結婚するのですから」




「――――そのことについてお話があります。
とにかくお城の方へ……そこでお話しします」




いつもとは違う雰囲気のゼバイルに気づいたのか、リーナの表情も真剣になる。
ゼバイルの言葉にリーナはにっこり笑うと言った。




「わかりましたわ。では、とりあえずお城の方に行きましょう」




凛とした声がその場に響く。

その横顔からはいつもの笑みが消えていた。

ふと、視線をずらせばゼバイルの後ろに黒髪の少女が立っているのに気づいた。
淡いピンクの瞳がジッとこちらを見ている。



その真っ直ぐな瞳をリーナは知っていた。





「あら、アリシアちゃんじゃない!お久しぶりね。あの手紙に書いてあったとおり可愛いわ!」



「「あの手紙??」」




アリシアとゼバイルが不思議そうに聞き返す。
リーナはにっこり笑いながら言った。




「そうですわ。ダリア様からお手紙を貰っていましたの!こちらの方にアリシアちゃんとゼバイル様が向かっていると」



「だから此処まで馬車で迎えに来たんですね……」





漸く納得できたのか、ゼバイルは呆れたような表情をするとあからさまに肩を落とす。

アリシアも納得するように頷いた。






「………とにかく、馬車に乗りますか」






アリシアはにっこり微笑むと二人に言った。















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