此処から思いっきりシリアスになっちゃいます(多分)
なので、背景は黒!苦手な人?は回避して下さい。
多分過去が終われば普通に戻りますから……
幼き記憶 2 レインと初めて会ったのは十五歳の誕生日のことだった。 「嫌よ。絶対パーティーなんか出ないんだから!!」 綺麗な顔を歪め、辺りに怒鳴り散らしているのは、言うまでもなく、 クロレストラ王国の第二王女、アリシア・クロレストラである。 長い灰色の髪を逆立て、今にも城を燃やさんばかりに怒っている。 薄ピンク色の瞳は怒りの色に染まっていた。 アリシアが何を此処まで怒っているかというと、それは数時間前に遡る。 それまで、今日は普通の誕生日パーティーだと思っていたのだが、 ドレスや、髪の毛を整えている最中に、侍女達が口を滑らせてしまったのだ。 『今日はアリシア様のご婚約者を決めるパーティーなのだと』 そして最初に戻る。 国王の意見からしたら、アリシアは十五歳になったのだから 婚約者ぐらい作っても可笑しくないと考えたのだが、 アリシアはそれを拒否したのだ。 それどころか、結婚したいと言い寄る男達をことごとく振り払っている。 今では男嫌いなのでは?と、思ってしまうぐらいだ。 流石にそれは困ると思った国王が、内緒で婚約話を進めていたのだが、 パーティーが始まる数時間前にばれてしまい、この大騒ぎへと発展してしまったのだ。 部屋に入ろうとしても、アリシアが結界を張っているため、中には入れない。 ゼバイルなのが一生懸命説得するも虚しく、アリシアは頑なにそれを拒んだ。 何故、好きでもない人と結婚しなければならないのだ。 私は誰とも結婚したくないのに……… アリシアは部屋に閉じこもりながら口々に叫き立てた。 だが、その努力も虚しく、部屋の結界を解かれ、 無理やりパーティーに出ることとなったのだ。 何度もゼバイルが心配そうに話しかけてきてくれたが、 アリシアの心は頑なに拒絶した。 そしてパーティーが始まった。 アリシアは無表情で椅子に座っていた。 長く、父親譲りの黒い髪は上の方で綺麗に纏められ、 白い肌にはうっすらと化粧が施されていた。 身を包む薄い水色のドレスがよりいっそう身体の細さを強調していた。 だが、顔には表情が無く、人形のようにも感じられた。 だが、内心アリシアはウンザリしていた。 どの男も皆そうだ。 姉のシリアと自分を必ず比べるのだから…… そしてシリアが相手をしなければアリシアの所にやってくる。 そんな男達がアリシアは大嫌いだった。 誰も自分を見てくれる人はいないのだから。 「―――――――――………」 アリシアは無言で立ち上がるとその場を後にする。 ガヤガヤと騒ぐ、人々の間をすり抜け、たどり着いたのは裏庭だった。 夜空が空一面に広がっている。 それはとても綺麗で儚かった。 まるで今の自分の様に感じられた。 「――――――……私は、何でも言うことを聞くお人形なんかじゃない」 ぽたり、 と、一滴の涙が地面に落ちた。 |