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不思議な老婆 ２ 「さて、此処に来たって事はその姿にあった洋服を買いに着たんだね？」 老婆は確かめるように呟くと、アリシアを見た。 アリシアもニンマリ笑うとその通りと言わんばかりに頷いた。 「そうなの。で、私好みの小さめの服ってある？今日中には出発しなきゃいけないから」 「そうだねぇ…アリシアお譲ちゃんにはこの服がいいかね」 考えるかのように老婆は呟くと、小さめの服を何着か持ってきた。 旅ができるようにどれもこれも動きやすそうな服ばかりだ。 それでいてオシャレである。 アリシアは唸りながら見ていると、ゼバイルが横からひとつの服を引っ張った。 動きやすそうな服の中ではまぁ、可愛い部類に入る服だろう。 ゼバイルはアリシアにその服を当てると、頷き、老婆に向かっていった。 「この服を貰おう。いくらだ」 「ちょっと待って！！私はその服がいいだなんて一言も…」 「動きやすいかは別としてこの服が一番お前に似合ってるからな」 「へ？そう…かな……？？」 ゼバイルから発せられた言葉に一瞬迷った表情をした後、 アリシアは嬉しそうに微笑んだ。 ゼバイルも瞳を細め、綺麗に笑っている。 本当に女性みたいだ。もっとも本人にそれを言ったら殺されるに違いないが… そんな二人の様子を微笑ましそうに老婆は見ていたが、 にっこり笑った後、優しげな声で言った。 「その服はただで差し上げますよ。いつもお世話になっていますからね… それに本当にお似合いですよ。アリシアお譲ちゃん」 「え！？た、ただなんて駄目だよ！！お婆さんには生活がかかってるんだから。 ね？お城のほうに洋服の代金を要求しといてね。お父様が払ってくれるから」 真剣な口調で言ってくるアリシアに一瞬老婆は驚いた表情をした後、にっこり笑った。 それは誰が見ても優しい笑みだった。 「アリシアお嬢ちゃんがそこまで言うのなら仕方がないね、 では、お城の方に後で代金を請求しておきますね」 「うん。それで良いの。さて………次はお兄さまよね！！」 「はぁ？」 意味が分からず、声を上げるゼバイルにアリシアはにっこり笑いながら一歩近づく。 「だって、その服明らかに体に合ってないし、第一可愛くもない」 「おい；；」 ゼバイルの非難の声も聞かず、アリシアは更に近づくと、しっかりゼバイルを捕まえた。 その表情はとても嬉しそうだ。 「お婆さん！ゼバイルお兄さまのお洋服も選んであげて貰える？」 「ええ、良いわよ」 優しげに微笑む老婆を手前に嫌だとは言えず、ただただ、顔を引きつらせるゼバイル。 そうしているうちに老婆は何着かまた違う服を持ってきた。 アリシアの時みたいにひらひらした可愛い服ではなく、 動きやすそうな服ばかりだ。 まさに旅をする者には適した服だろう。 「うーんちょっとシンプルなような気もするけどいいか。これなんか似合うんじゃない？ゼバイルお兄さま」 一番動きやすそうな服をあてがうと、うーんとうなり出す。 どうやらお気に召さなかったようだ。 だが、どうせ自分が選んだ所で却下されるのは目に見えている。 一体どのくらい続くのやら…… ゼバイルは密かに溜息を付きながら、目の前で張り切るアリシアを見つめた。 |